社会人になって初めて任された仕事は、地域の祭りで配布するちらしづくりでした。
デザインソフトを使うのも、業務として制作物を仕上げるのも初めてで、正直なところ不安の方が大きかったです。それでも「初仕事だからこそ、きちんとやりたい」という思いがあり、試行錯誤を重ねながら時間をかけて作り上げました。
配色は派手すぎないか、文字は読みやすいか、見た人が祭りの楽しさを想像できるか。何度も修正を重ね、気づけば残業している日もありました。完成したちらしを見たときには、拙いながらも「今の自分なりにやり切った」と胸を張れる気持ちになりました。
しかし、その案を上司に持っていくと、結果はあっけないものでした。
「今回は去年使ったデザインを踏襲した別の案でいこう」
そう言われ、私の案は採用されませんでした。実績があり、安心感のあるデザインを選ぶ判断は理解できましたが、自分が費やした時間や情熱は考慮されなかったように感じ、深い失望を味わいました。
デスクに戻ってからも気持ちは晴れず、「この仕事に意味はあったのだろうか」と考えてしまいました。そんな私の様子に気づいた先輩が、仕事の合間に声をかけてくれました。
先輩は「残念だったね」と言い、無理に慰めることはしませんでした。ただ、「初めてで、ここまで作り上げたのはすごいことよ。頑張っていたのは分かってる」と、静かに伝えてくれました。その言葉を聞いたとき、張りつめていた気持ちが少し和らいだのを覚えています。
結果として評価されなかった悔しさは簡単には消えませんでしたが、努力そのものを理解してくれる人がいると知り、前を向こうと思えるようになりました。この経験は、仕事では結果だけでなく、そこに至る過程も自分にとって大切な財産になるのだと教えてくれた出来事として、今も心に残っています
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